日本小児循環器学会雑誌
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CD34陽性細胞移植による血管・組織の再生治療
藤田 靖之木下 愼川本 篤彦
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キーワード: CD34, cell therapy, ischemia, regeneration
ジャーナル オープンアクセス

2015 年 31 巻 3 号 p. 80-87

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抄録

CD34は様々な体性幹細胞の表面マーカであり,骨髄由来の造血幹細胞/血管内皮前駆細胞,骨格筋衛星細胞,毛包幹細胞,脂肪組織間葉系幹細胞などに発現している.骨髄または顆粒球コロニー刺激因子(granulocyte colony stimulating factor: GCSF)動員CD34陽性細胞を用いた血管再生療法は,慢性重症下肢虚血,治療抵抗性狭心症,急性心筋梗塞,拡張型心筋症など様々な心血管疾患患者を対象に開始され,高い安全性と良好な初期成績が報告されている.当研究グループでは,慢性重症下肢虚血患者に対する第I/II相,第II相臨床試験を終え,現在第III相試験の準備中である.最近では,心血管疾患以外に,肝硬変や難治性骨折など,その病態に局所の血流障害が関与する疾病に対しても,GCSF動員CD34陽性細胞移植治療が行われ,良好な初期成績が示されている.
本総説では,骨髄由来CD34陽性細胞を用いた血管再生治療について,前臨床試験および初期臨床試験の成績を紹介し,将来の展望についても言及する.

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© 2015 特定非営利活動法人 日本小児循環器学会
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