日本小児循環器学会雑誌
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原著
Fontan適応症例に対する内胸動脈パッチを用いた肺動脈形成術
小泉 淳一猪飼 秋夫岩瀬 友幸古武 達也菅野 勝義中野 智早田 航高橋 信小山 耕太郎小林 隆史岡林 均
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2014 年 30 巻 3 号 p. 319-325

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抄録

背景:Fontan適応となる単心室症例において肺動脈狭窄に対する外科的肺動脈パッチ形成術の理想的素材は明らかでない.
目的:われわれは内胸動脈(ITA)のパッチとしての可能性を考慮し,単心室症例において初回姑息手術後に生じた肺動脈狭窄をITAパッチにより修復を試みたので,その結果を報告する.
方法:2007年以降,Fontan適応症例で初回姑息手術後にITAパッチを用いた肺動脈形成術を施行した4例を対象とした.診断は左心低形成2例,単心室,肺動脈閉鎖2例.初回手術はNorwood手術(RV-PA)2例,中心肺動脈形成+BTシャント変法2例.4例中3例は月齢5〜7ヵ月時に両方向性Glenn手術と同時にITAパッチによる肺動脈形成術が併施された.残る1例はTCPC施行前に月齢15ヵ月時にITAパッチによる左肺動脈形成術,肺動脈隔離術,左BTシャント変法が施行された.
結果:全例で肺動脈再狭窄の発症はなく月齢20〜25ヵ月時にTCPC手術へ到達した.肺動脈形成術後22〜45ヵ月の経過観察中に再介入を要するイベント,死亡ともになかった.TCPC後の肺動脈造影では左右肺動脈の発育は良好で肺動脈狭窄は認められなかった.
結論:ITAはFontan適応の単心室症例に対する,乳児期前後における中心,末梢肺動脈形成術のパッチ素材となりうる可能性が示唆された.

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© 2013 特定非営利活動法人 日本小児循環器学会
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