日本小児循環器学会雑誌
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18トリソミーおよび13トリソミー児の心臓血管手術
片岡 功一
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2020 年 36 巻 1 号 p. 3-15

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抄録

18トリソミーおよび13トリソミーは頻度の高い常染色体異常症候群であり,重度の精神運動発達遅滞,先天性心疾患など多彩な合併症を呈する.生命予後不良として,従来は積極的な治療が行われてこなかった.近年,積極的な治療により生命予後が改善するとの報告が増加し,5年,10年の長期生存率を報告するpopulation-based studyもみられるようになった.合併する心疾患では,肺血管閉塞性病変が早期に進行する症例があるなどの特徴が徐々に解明されている.心臓血管手術では適切な手術時期や手術法,他臓器合併症など検討すべき課題が多く,長期的な生命予後を改善するかは未だ不明で,施設間で対応の相違がみられる.手術の目的として生存期間の延長のみならず,患児と家族のquality of life (QOL)向上も重要である.蓄積されてきたエビデンスに基づき患者家族に精確な情報を提供し,十分な話し合いを通じて「児の最善の利益」と家族の意思を尊重しつつ,症例ごとに最もよい治療を模索する必要がある.

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© 2020 特定非営利活動法人日本小児循環器学会
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