2017 年 6 巻 2 号 p. 108-114
日本骨髄バンクを介して2回の骨髄提供を行ったドナーの身体的負担および移植への影響を解析した。解析対象ドナーは820人で,1回目提供から2回目提供までの間隔は約4年であった。コーディネート期間は1回目に比べて2回目は明らかに短縮されていた。また,骨髄穿刺部の痛みの程度は変わりなかったが,痛みの持続日数および日常生活への復帰日数は1回目より2回目で短かった。骨髄採取時間,骨髄採取量,総細胞数,細胞濃度,細胞数/患者体重の1回目 : 2回目の平均値は,74分 : 78分(P<0.001),821mL: 848mL(P=0.095),160×108個 : 139×108個(P<0.001),2.0×107個/mL: 1.7×107個/mL(P<0.001),3.0×108個/kg: 2.7×108個/kg(P<0.001)であった。2回目提供の骨髄移植では造血回復の遅延がみられ,標準リスクの患者群では生存率の低下がみられた。これらの結果から,2回目提供ドナーへの身体的負担は長期的な影響は不明だが,許容範囲と考えられた。また,移植結果への影響については,さらに詳細な解析が必要である。