2020 年 9 巻 1 号 p. 13-22
免疫チェックポイント阻害薬である抗PD-1抗体や抗CTLA-4抗体は,T細胞の活性化に対する負のフィードバック機構を解除し,T細胞の活性化を促して抗腫瘍効果を発揮する。本邦では造血器悪性腫瘍に対し,再発難治性の古典的ホジキンリンパ腫に対する抗PD-1抗体(nivolumabとpembrolizumab)のみが承認されているが,今後はその他の血液疾患に対する応用が期待される。同種造血幹細胞移植においては,免疫チェックポイント阻害薬による抗腫瘍免疫がさらに増強されることが期待される一方,GVHDの増悪につながる可能性があり,安全性に細心の注意を払う必要がある。本論文では,同種造血幹細胞移植における免疫チェックポイント阻害薬の作用について,基礎研究での知見と臨床的知見の両方につき,特に本邦で現在使用可能となっている抗PD-1抗体に重点をおいて検討することとする。