2018 年 7 巻 3 号 p. 107-112
1995-2009年に20歳未満で自家/同種造血幹細胞移植(HSCT)を受け,2年以上無治療で生存している患者に対して,標準化されたquality of life(QOL)尺度を用いて,全国的な横断的調査を施行した.研究参加群(解析対象)442例と研究不参加群(非解析対象)1186例の背景因子を比較したところ,解析対象群で同種骨髄/臍帯血例がやや多く自家末梢血例が少ない傾向があり,解析対象群では最近の移植例が多く,骨髄非破壊的前処置とGVHD予防としてタクロリムスが多い傾向が見られた.しかし解析対象群と非解析対象群において,性別や移植時年齢分布はほぼ同等で,移植対象原疾患の内訳にも差は認められず,生着不全や急性・慢性GVHDに関しても頻度・程度共に両群で有意差を認めなかったことから,本研究参加群の解析によって本邦の小児HSCT長期生存例のQOLを知ることが可能である.(UMIN9546)