今回われわれは,キアリーI型を伴う脊髄空洞症の1例に対して,細いファイバーカテーテルを用いて空洞内を安全に観察することが可能であったので報告した.症例は23歳の女性で,MRIで頸髄から下部脳髄に広がる空洞があり,5カ月前にsyringo-subarachnoid Shunt術を受けたが,shunt malfunctionのため再手術となった.術中には直径0.75mmのファイバーカテーテルを用いて,閉塞したチューブや空洞内を観察した.チューブ内は肉芽様組織で充満され閉塞していた.さらに空洞内にファイバーカテーテルを進めると,空洞壁の平滑な状態,空洞内を主に前後に走る細い血管とtrabecula様の結合組織や空洞の尾側は盲管になっているところまで観察可能であった.この方法は将来的には空洞内の腫瘍の発見や空洞と第4脳室との交通性,空洞内の隔壁の巫通性の判定に利用できる可能性があると考えられる.