日本鼻科学会会誌
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原著
関連病院勤務耳鼻咽喉科医師を対象とした舌下免疫療法についてのアンケート調査報告
小幡 翔前田 陽平端山 昌樹武田 和也津田 武赤澤 仁司川島 佳代子猪原 秀典
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2020 年 59 巻 1 号 p. 41-48

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抄録

舌下免疫療法(SLIT)はアレルゲン免疫療法(AIT)の一つで,自宅でも投与が可能で安全性が高い治療として欧米で注目されてきた。わが国でも第3相臨床治験が実施され,その有効性が証明された。その結果,スギ花粉舌下液として2014年10月に市販された。さらにダニアレルギー性鼻炎に対しても大規模な臨床第2相,第3相治験の結果,安全性・有効性が確認され,2015年11月・12月から市販されている。2017年7月時点での舌下免疫療法の耳鼻咽喉科医師における普及程度・興味・理解度を調査することを目的として,大阪大学耳鼻咽喉科関連病院医師に対してWebアンケート調査を行った。アンケートの対象は,2017年7月時点で大阪大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科関連病院に勤務している医師120名とした。アンケート配布・収集にはResearch Electronic Data Capture(REDCap)TMを利用した。有効回答が得られたのは120名中59名であった。SLITを施行していない医師51名のうち37名(73%)が自発的にSLITを希望しない患者に対してSLITを治療法として提示していないことが明らかになった。その要因として,SLITへの反応性を予測するバイオマーカーの不足,時間的拘束などの診療体制の問題,SLITへの興味不足などが回答された。今後のSLITの普及においては,医療者への啓発や,バイオマーカーの発見が重要と考えられた。

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