日本緑化工学会誌
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都市河川に生育するミズキンバイの生態的特徴
大澤 啓志勝野 武彦片野 準也
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2000 年 26 巻 3 号 p. 188-197

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抄録

本研究では, 神奈川県東部の都市河川 (柏尾川) で旺盛に繁茂しているレッドリスト種ミズキンバイ (アカバナ科) について, その生態的特徴を明らかにした。月別の現存量の変化より, 本種の生活環として5~8月の直立型の成長期, 9~10月の匍匐茎による横方向への増殖期, 11~1月の衰退期が明らかになった。開花は5~12月に見られたが, 特に初夏に最も多くの着花数が認められた。分布は中流部の約6kmの範囲であり, 1998年の総生育量 (植被面積) は約1, 500m2であった。確認された44地点の群落のうち25地点では, 中洲のほとんどを占有していた。水面上に広く葉を拡げる群落景観は, 水面から緩やかにつながる淡緑色の中洲・寄洲を形成し, 柏尾川の河川景観を特徴付けている。群落内の種構成を比較した結果, 群落遷移から考えてメリケンガヤツリ・ミゾソバの出現頻度の多少により遷移の初期型・後期型に区分された。さらに, 草丈の高い植物の侵入により本種の群落は減少すると思われる。

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