日本ロボット学会誌
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エネルギー効率の観点からみた歩行機械の相似性に関する基礎的研究
金子 真舘 〓谷江 和雄阿部 稔
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1985 年 3 巻 3 号 p. 207-219

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抄録

本論文は, エネルギー効率の観点からみた歩行機械の相似性について論じている.
、はじめに9つの物理量に対して次元解析を行5ことにより, 歩行機械のエネルギー効率を支配する5つの無次元数を導入している.次に, 各無次元数がエネルギー効率に及ぼす影響について調べるため, n脚歩行モデルを対象に, アクチュエータ配置に関する基本的な考察と計算機シミュレーションが行われている.このシミュレーションでは, 特に脚系の慣性力に起因する床反力まで考慮されている.
シミュレーション結果と相似性についての基本的解釈は以下のようにまとめられる. (1) 同じ歩幅比であっても無次元胴体高さはエネルギー効率 (移動仕事率) に大きく関与する. (2) 質量比はエネルギー効率 (移動仕事率) に線形的に影響する. (3) 脚慣性力による床反力の効果は必ずしも無視できない. (4) 極端な低速歩行では, 6脚歩行機械より4脚歩行機械の方が少ないエネルギーで移動できるが, 高速になってくると逆に6脚歩行機械の方が少ないエネルギーで移動できる. (5) たとえ幾何学的に相似で質量比まで同じ2つの歩行機械を考えたとしても, 両者のエネルギー効率は一般に等しくならず, 理論的に両者が等しくなるのは限られた運転条件に限定される.

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