静脈学
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原著
看護師の下肢静脈機能と弾性ストッキングの効果
杉山 悟内田 發三宮出 喜生因来 泰彦長谷部 真由美
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2013 年 24 巻 1 号 p. 17-21

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抄録

●要  約:空気容積脈波検査(APG)および下肢静脈の超音波ドプラ検査を用いて,看護師の下肢静脈機能を評価し,静脈機能の低下に対する弾性ストッキングの有用性を検討した.20歳台,30歳台,40歳台,50歳以上の健康な現職看護師それぞれ5名,合計20名を対象とした.臨床症状を聴取したのち,視診を行い,APGによるvenous volume(VV),venous filling index(VFI)の測定と,超音波ドプラによる大小伏在静脈,膝窩静脈における逆流の評価を行った.40歳未満(A群)と40歳以上(B群)で比較すると,網の目状,クモの巣状下肢静脈瘤の比率がB群で多く,症状では,こむら返りの訴えがB群で多かった.VVはA群で57.9±13.5 ml,B群で76.9±14.5 ml,VFIはA群で0.91±0.44 ml/sec,B群で1.6±0.58 ml/secと,いずれもB群が有意に高値であった.VFIが1.0 ml/sec以上の被検者に弾性ストッキングを着用させてVFIを再測定すると,すべての例で著明な改善がみられた.今回の調査では,看護師の静脈機能は40歳以上では有意に悪化していた.仕事中の弾性ストッキングの着用は静脈機能を是正し,下肢の静脈機能の維持,疲労の緩和に有用であることが推察された.

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