2015 年 55 巻 8 号 p. 125-129
要旨:維持血液透析(HD)患者における運動誘発性ゼロTBI サイン(e-ZETS)の有用性は不明である。そこでHD 患者において安静時にゼロTBI サインを認めた22 趾(r-ZETS 群),e-ZETS が出現した22 趾(e-ZETS 群)およびe-ZETS が出現しなかった63 趾(非e-ZETS 群)の臨床所見および予後を比較した。e-ZETS 群の下肢血行動態は,r-ZETS 群と非e-ZETS 群の中間的位置にあった。また,36 カ月間の追跡調査の結果,e-ZETS 群はr-ZETS への移行を回避する率(63.6%)が,非e-ZETS 群(98.4%)より顕著に低かった(p<0.001)。HD 患者のe-ZETS はr-ZETS に先行して現れ,足趾の高度な灌流障害の予兆として有用であると考えられた。