【要旨】左開胸大動脈手術(遠位弓部大動脈,下行大動脈,胸腹部大動脈)に対して我々の施設では左心バイパスを主に選択し行っている。2003年6月から2005年9月までに施行した83例の左心バイパスにおいて,その経験と回路の変更について検討したので報告する。左心バイパス法を導入した当初は遠心ポンプと動脈フィルターの主回路にボリューム調整用のソフトリザーバー,貯血された血液を保温する熱交換器,ポンプサクション用ハードシェルリザーバーを補助回路として組み込み施行していた。しかし,人工血管置換範囲によっては熱交換器を使用しない症例を多数経験したことから,必要時に熱交換器を付加できる回路へと改良を行った。