今回我々は,PCPSを73時間行った劇症型心筋炎の症例を経験し,そのシステムの有用性と問題点を検討した。患者は44歳男性で,発熱と呼吸困難を主訴に当院CCUに入院した。検査により急性心筋炎と診断され,IABPを挿入し循環管理を行った。しかし,血行動態のコントロールが困難となったためPCPSを行った。だが,PCPS施行後2日目より消化管出血や下肢の阻血が生じ,4日目には,下半身のチアノーゼが増悪したため,PCPSからの離脱をよぎなくされた。PCPS中は遠心ポンプ交換2回,人工肺,動脈フィルターをそれぞれ1回交換した。臨床上,血行動態の改善を見られたものの長時間にわたるPCPSでは,消化管出血,人工肺およびポンプユニットの交換,下肢の阻血,PCPSの離脱のタイミングなどの問題点を検討する必要があると思われた。