頭頸部腫瘍
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頭頸部腫瘍に対する強度変調放射線治療の初期経験
特に治療計画と照射精度管理について
永田 靖青木 徹哉溝脇 尚志高山 賢二光森 通英矢野 慎輔平岡 真寛安里 亮田中 信三
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2003 年 29 巻 1 号 p. 151-158

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抄録

目的: 頭頸部腫瘍に対する強度変調放射線治療 (IMRT) の初期経験を通じて, 特にその治療計画結果と精度管理について検討した。
対象と方法: 平成13年9月よりIMRTの頭頸部腫瘍への臨床応用を開始した。治療計画装置はCADPLAN-Heliosを用い, 照射方法は Dynamic MLC法を用いた。治療計画結果の精度管理には, 複数のファントムに対して実際の照射条件で照射を行い, その照射線量をフィルム法と線量計を用いて実測して計画線量と比較した。
結果: 上咽頭癌3例の治療計画と精度管理を評価した。立案した治療計画は全例7門照射であったが, 照射角度は症例別に決定した。照射線量は66-76Gyで初期2症例は通常外照射と併用した。治療計画には各症例で各々10時間以上を要したが, 腫瘍内線量の均一性の確保と脊髄等のリスク臓器の線量低下が可能であった。また, 実際の治療計画のファントムを用いた実験測定結果においても, 照射線量は計画線量と比較しておおむね5%以内の精度が保たれた。
結論: 頭頸部腫瘍に対するIMRTにおいては, 臨床上で有意義な線量分布が作成可能であり, 精度管理も許容可能範囲であった。

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© 日本頭頸部癌学会
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