頭頸部腫瘍
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下顎歯肉癌における下顎骨切除方法
術前治療による下顎辺縁切除術の適応と治療成績
大関 悟大部 一成前田 幸弘高木 潤吉大石 正道
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1997 年 23 巻 3 号 p. 618-624

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抄録

下顎歯肉癌の手術においては, 根治性が損なわれず安全に切除できるならば, 術後の形態や機能温存の上で, 下顎骨の連続性が保存される辺縁切除が有利である。過去24年間に当科で治療を行った下顎歯肉扁平上皮癌81例を対象に術前治療の効果と下顎骨切除法や原発巣の再発との関連を調べ, 下顎辺縁切除術の適応について検討した。術前治療のCR率は55.4%で, CR症例のうち12例は手術を行わず, 残り69例の下顎骨の切除方法は, 区域切除17例, 辺縁切除43例, 骨削除・歯肉切除9例であった。原発巣再発は19例 (23.5%) にみられ, 区域切除11.8%, 辺縁切除18.6%, 骨削除・歯肉切除55.6%, 非手術33.3%の再発率であった。X線像による骨浸潤様式や下顎骨の切除方法と再発との関係から下顎管上までの平滑型浸潤症例に辺縁切除が可能と思われた。また術前治療の組織学的効果が良好なほど局所再発率が低く, 術前治療効果を上げることで, 辺縁切除術が安全に行い得ると思われた。

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© 日本頭頸部癌学会
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