頭頸部腫瘍
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当科における放射線とカルボプラチン同時併用の治療成績
藤井 正人大野 芳祐神崎 仁伊東 久夫
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1994 年 20 巻 3 号 p. 525-529

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抄録

放射線療法の強化を目的として化学療法の同時併用が注目されている。カルボプラチン (CBDCA) は頭頸部癌に対してシスプラチンと同様に優れた効果を示すことが報告されており放射線とCBDCAとの併用に関して効果および副作用の面から臨牀的検討を行った。対象とした症例は頭頸部扁平上皮癌 Stage III VI症例32例である。放射線療法は, リナック照射を50Gyないし66Gy施行した。CBDCAの投与は, 照射直前に75mg/m2を放射線治療が始まってから終了するまで週に一回, 合計4ないし7回施行した。結果は32例中CRが22例68.8%であった。奏効率は93.8%であった。NCが2例で, PDの症例はなかった。CRとなった症例のうち18例が現在まで再発を認めず, そのうち5例は2年以上無再発生存している。上咽頭癌症例に関しては放射線単独群と比べて無再発生存期間の延長が認められた。副作用に関しては10例 (31.3%) に口内炎が見られた。そのうち8例 (26%) はGrade 2で2例はGrade 3であった。白血球の減少が5例 (15.6%) に見られたが, 減少の速度は緩やかで放射線終了後正常に戻ってる。5例で何らかの副作用で照射を中断したが, 中止した症例はなかった。以上より放射線とCBDCAの併用は, 安全性と効果の点から頭頸部進行癌に対して有用であると考えられ, 今後更に症例を増やして検討すべきと考えられる。

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© 日本頭頸部癌学会
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