2019 年 45 巻 3 号 p. 323-329
頭頸部悪性腫瘍術後にactivities of daily living (ADL)が低下し退院困難となる例がある。初回治療として根治手術を行った70歳以上の頭頸部癌患者71例の診療録調査を行った。退院時にBarthel index 60点以下となった例を,入院時に60点以下の場合は入院時以上の介護力が必要となった例をADL低下とした。併存疾患の評価はAdult Comorbidity Evaluation-27 indexを用いた。Performance status,ASA Physical status,脳神経系併存疾患,中等度以上の心血管系併存疾患,低アルブミン血症,呼吸機能低下,術後合併症の発生がADL低下のリスク因子であった。70歳以上で,中等度以上の併存疾患のある患者や呼吸機能や栄養状態が不良な患者では,手術内容に関わらず術後のADL低下に留意する必要があると考えられた。