2021 年 47 巻 3 号 p. 290-294
口腔乾燥は頭頸部がんに対する放射線治療に一般的な有害事象として認め,口腔関連QOLが大きく低下する。本研究では,頭頸部がんにて当施設で根治的放射線治療を受けた症例にGeneral Oral Health Assessment Index(GOHAI)を用いて口腔関連QOL調査を実施し,長期的な推移を後ろ向きに調査した。60Gy以上の根治的放射線治療を受けている,あるいは既往のある患者66名からのべ260件の回答を得た。がんが再発している症例や手術後の症例は除外した。放射線治療終了時点が最も悪い値であったが,その後緩徐に回復を認め,治療終了後3-3.5年後には国民平均値とほぼ同程度まで回復し,その後プラトーとなった。放射線治療終了時の値を基準とすると,その後のすべての期間で統計学的に有意に回復を認めた。耳下腺平均線量で二群に分けて解析を行ったが,口腔関連QOLの変化はほぼ同様であった。