日本泌尿器科学会雑誌
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症例報告
MRI所見によって精巣を温存し得た精巣区域梗塞の1例
高橋 正博堀口 明男濱田 真輔神原 太樹辻田 裕二郎住友 誠浅野 友彦新本 弘
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キーワード: 精巣, 区域梗塞, MRI
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2012 年 103 巻 4 号 p. 636-639

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抄録

症例は42歳男性.右陰囊痛にて近医を受診し,精巣上体炎の診断にて抗生物質の投与を受けた.その後,症状増悪する為に,紹介受診となった.超音波検査では,右精巣上極に血流が認められない径4 cm大の低エコー領域を認めた.MRIでは右精巣上極にT2強調画像で高信号,T1強調画像で淡い高信号を呈する病変を認めた.造影にて同部位に局所的な血流障害を認め,区域性精巣梗塞と診断されたため,保存的に経過観察した.陰囊痛は保存的に軽快し,発症3カ月後のMRIでは梗塞巣の縮小を認めた.精巣区域梗塞は稀であり,精巣腫瘍や精巣捻転との鑑別が困難なため,外科的摘除後に診断が確定する例が多い.急性陰囊症におけるMRI検査は不要な外科的治療を回避するのに重要な検査と思われた.

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© 2012 一般社団法人 日本泌尿器科学会
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