環境技術
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迅速フェノールジスルホン酸法による窒素酸化物定量法の検討 (第1報)
―炭酸イオン・塩素イオン・金属イオンなどの影響について―
伊藤 修二阿比留 佳明
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1978 年 7 巻 2 号 p. 101-105

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抄録

フェノールジスルホン酸と硝酸イオンとを反応させ, その呈色強度でもって窒素酸化物を定量する場合, 次の物質が定量を妨害することがわかった.
(1) CO2, CO32-が定量分析操作中にNO3-のロスを誘起し, 定量値にばらつきを与える.
(2) Cl-は8×10-3mg以上存在すると負の影響を与える.
(3) 金属イオンは, 10-3mg~1mg以上存在すると正の影響を与えるが, 水や試薬中に含まれている場合には空試験と検体の両方に影響を与えるので, クロムと亜鉛以外はあまり問題にならない.
しかし排ガス試料のように検体にのみ金属イオンが含まれる場合には影響が大きい.
これらの結果から, 試薬として用いるアルカリや水の量は一定量用いるようにすると共に, 水は比電導度0.9μΩ/cm程度の蒸留水 (蒸留後間のないもの) を使用すべきである.
また定量操作中に沈殿や着色が認あられたり, 呈色液が420nmや600nmに極大吸収を示したりする場合は金属の影響であるといえる.

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