日本海洋学会誌
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七尾湾浅海底土の化学組成
山本 善一
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1968 年 24 巻 3 号 p. 94-102

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抄録

七尾湾の西湾, 南湾および北湾から採取した21種の浅海底土の化学組成を調べた. 西湾, 南湾および北湾の平均水深の増大と共にそれぞれの湾のアルミニウム, カリウムおよびリンの平均含量は増加し, チタンの平均含量は反対に減少する. また, 可溶性シリカの平均含量 (12.54%Si2O) は全シリカ含量の平均値 (55.39 %) のほぼ1/4である. 赤粘土に比べ, これらの堆積物には, 鉄およびリン特にマンガンの蓄積が少なく, イオウは比較的多い. 西湾および南湾の試料の平均イオウ含量は, それぞれ1.46%と1.55% (SO3) で, 北湾の平均値0.76%のほぼ2倍に当る. また有機炭素と窒素含量も北湾より西湾と南湾のものに高く, これに反してリンは北湾の試料に僅かに多い. 七尾湾の海底土は駿河湾, 若狭湾および大和堆付近の海底土に比べ, 比較的多量の有機物を含んでおり, 全試料の有機炭素と窒素の比は平均8.6で, これはTRASKにより86種の浅海底土について得られたC/Nの平均値8.3とほぼ類似している.

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