教育心理学年報
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Ⅰ わが国の最近1年間における教育心理学の研究動向と展望
教育社会心理学研究の動向と課題
弓削 洋子
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2013 年 52 巻 p. 46-56

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抄録

 本稿では,まず,日本教育心理学会第54回総会発表を概観し,「学級適応」「インターネット」「ジェンダー」が増加したことが示された。次に,最近1年間における学校教育の社会心理学研究の動向を(1) 社会性と対人関係,(2) 学校・学級適応,(3) 教師の教育機能,(4) 学級集団,(5) 学校組織の協働の5つに分けて概観した。その結果,個人のスキルやパーソナリティ・動機づけに拠るアプローチが多い動向にあった。教育社会心理学研究の今後の課題として,第一に,教育実践者との対等な関係の中で,教育社会心理学の理論・メカニズムを再構築する必要性,第二に,教育の社会的文脈としての課題状況分析を通して個人の教育と社会とを統合する取り組みの必要性が示唆された。

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© 2013 日本教育心理学会
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