日本消化器外科学会雑誌
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大腸癌手術における至適切除範囲
肥田 仁一丸山 貴正藤本 喜代成
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1997 年 30 巻 10 号 p. 2122-2126

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抄録

腹腔鏡下結腸癌手術では術中にリンパ節を触診できないので根治性を損わない切除範囲が求められている. 直腸癌前方切除における局所再発防止のための切除範囲を検討した. 結腸癌164例, 直腸癌198例のリンパ節転移をクリアリング法で調べた. 結腸癌の腸管軸方向転移は腫瘍から7cm以内で中枢方向の転移は主リンパ節に及んだ. 直腸癌の肛門側間膜内リンパ節転移率は20.2%, 進展距離は4cmで, 壁内進展 (10.6%, 2cm) より高率かつ肛門側に達した. 直腸癌のS状結腸傍リンパ節の転移率は1.0%とまれであった. 結腸癌T1には腫瘍から3Cmの腸切除, T2には中間リンパ節と5cmの腸切除, T3, T4には主リンパ節と7cmの腸切除が必要である. 前方切除ではRs, Raは3cm, Rbは2cm, T1, T2は1cmのAWを確保し, RaのT3, T4には5cmの肛門側問膜切除を, RbのT3, T4には全直腸間膜切除を行うとともに低位吻合にはS状結腸を利用したJ型結腸嚢再建で排便機能の向上を計る.

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