2020 年 53 巻 4 号 p. 329-335
症例は65歳の男性で,20歳時に十二指腸潰瘍に対して幽門側胃切除術+Billroth-II法再建を施行されている.体重減少,貧血を主訴に当院紹介受診し,精査の結果,残胃癌cT4aN(+)M0 cStage IIIの診断となった.術前化学療法施行後に腹腔鏡補助下残胃全摘術+D2リンパ節郭清+Roux-en-Y法再建+横行結腸部分切除術を施行した.摘出標本では残胃広範に3型腫瘍を認め,前壁側には約3 cm大の隆起性病変を認め,病理組織学的検査では3型腫瘍部に胃癌を,隆起性病変部にはdiffuse large B-cell lymphoma(以下,DLBCLと略記)を認め,一部両者の衝突所見も認めた.術後のPET-CTにて大動脈周囲リンパ節に異常集積を認め,DLBCLの節外病変を疑った.残胃癌ypT4b(横行結腸)N2M0,ypStage IIIBと胃原発胃悪性リンパ腫DLBCL,Lugano分類Stage II2の衝突癌の診断となり化学療法施行中である.