日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
術前に肝細胞癌と診断された肝Reactive lymphoid hyperplasiaの1例
鈴木 史恭横山 隆秀秋田 眞吾清水 明中田 岳成小林 聡浅香 志穂宮川 眞一
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2012 年 45 巻 4 号 p. 400-409

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抄録

 症例は65歳の女性で,腹部CTで肝S4の腫瘍性病変を指摘され当院へ紹介された.腹部CTでは早期相でenhanceされ,後期相でwashoutされる径10mm大の腫瘍を認めた.腹部MRIではT1強調像でlow intensity,T2強調像でhigh intensityであり,腹部血管造影では辺縁優位の濃染像を認めた.腫瘍マーカーは正常であったが,画像検査からは肝細胞癌が疑われ,腹腔鏡補助下肝S4部分切除術を施行した.肝腫瘍は灰白色の結節であり,病理組織学的検査所見で肝Reactive lymphoid hyperplasiaと診断された.肝Reactive lymphoid hyperplasiaは術前に悪性腫瘍と診断され切除術後に確定診断がなされる症例が多い.そのため辺縁優位にenhanceされる肝臓の小腫瘍の鑑別診断として念頭におく必要があると考えられた.

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