日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
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症例報告
Platelet derived growth factor receptor alpha変異胃gastrointestinal stromal tumorの1例
二村 浩史高橋 直人渡部 篤史山下 重雄大平 寛典篠原 寿彦小林 克敏三森 教雄柏木 秀幸矢永 勝彦
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2009 年 42 巻 12 号 p. 1785-1790

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抄録

 9 cm大のplatelet derived growth factor receptor alpha(以下,PDGFRα)変異胃gastrointestinal stromal tumor(以下,GIST)を経験したので報告する.症例は64歳の男性で,健診にてSMTを指摘され上部内視鏡検査を行ったところ,胃幽門前庭部小彎後壁に9 cm大のSMTを認めた.生検の結果,c-kit,CD34,αSMA,S100すべて陰性であったがGISTを強く疑い手術を施行した.CT,拡散強調MRIにて壁内外発育型であったが肝転移,腹膜播種は認められなかった.幽門側胃切除を施行した.紡錘形~類上皮細胞が不正な結節を形成し,CD34のみ陽性で,c-kit,αSMA,S100染色は陰性であった.術後遺伝子検索にて,KIT遺伝子の変異は認めずPDGFRα exson 18のD842V変異によるGISTであった.核分裂像指数は50視野中2個であり,中リスク群であった.根治手術であり,PDGFRα exson 18 D842V変異GISTはイマチニブ抵抗性のため経過観察とした.術後の治療方針に,GISTの遺伝子検索は有用と考えられた.

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