日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
膵頭十二指腸切除術後の門脈狭窄に伴う消化管出血に対して門脈内ステントが有効であった1例
小薗 真吾千々岩 一男大内田 次郎今村 直哉旭吉 雅秀大谷 和広古小路 英二榮 建文
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2009 年 42 巻 11 号 p. 1711-1716

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抄録

 膵頭十二指腸切除術後の門脈狭窄により発達した側副血行路からの消化管出血に対して,門脈内ステント留置が有効であったまれな1例を報告する.症例は49歳の男性で,2003年6月膵頭部癌に対し亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した.術後補助化学放射線療法を追加,以後再発なく経過良好であった.2005年6月腹痛を伴う下血を認め,大腸憩室炎出血の診断で右半結腸切除術を施行したが,その後も下血を認め10月に再入院となった.門脈本幹の狭窄と肝管空腸吻合部周囲に静脈瘤を伴う側副血行路の発達を認め,小腸内視鏡で肝管空腸吻合部近傍の小腸粘膜に静脈瘤と潰瘍病変を認めた.門脈狭窄による消化管出血と診断し,経皮経肝門脈造影下に門脈狭窄部へ金属ステントを留置,側副路への血流は消失し,下血は認めなくなった.ステント留置後3年経過したが消化管出血なく門脈血流も良好で健在である.

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