日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
門脈ガス血症を呈し胃穿孔を伴った胃軸捻転症の1例
塚原 哲夫磯谷 正敏原田 徹金岡 祐次亀井 桂太郎前田 敦行高橋 祐
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2009 年 42 巻 11 号 p. 1658-1663

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抄録

 症例は76歳の女性で,パーキンソン病と肺結核症手術の既往がある.2008年2月中旬に突然の腹痛が出現したため,当院救急外来へ搬送された.腹部は膨隆し,心窩部を中心に圧痛と筋性防御を認めた.腹部単純X線検査で胃の著明な拡張を認め,腹部CTでは胃拡張とともに多量の遊離ガス像および肝内門脈枝にガス像を認めた.以上の所見から,消化管穿孔性腹膜炎の診断で緊急手術を施行した.開腹すると胃前庭部が左上腹部へ短軸方向に180度捻転し,胃底部に穿孔部を認めた.間膜軸性胃軸捻転症に伴う胃穿孔と診断し,捻転整復,穿孔部切除,縫合閉鎖,胃前壁固定術を施行した.術後,左横隔膜下膿瘍を合併したが経皮的ドレナージによって軽快し,術後第45病日に退院した.門脈ガス血症と穿孔を伴った胃軸捻転症の報告は我々が調べえたかぎり国内外で1例のみと極めてまれで,自験例が2例目であり文献的考察を加えて報告する.

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