胆嚢癌を合併した胆嚢胃瘻の1切除例を報告する. 症例は74歳の男性. 嘔気, 嘔吐を主訴に他院を受診し, 検査にて内胆汁瘻を疑われ当院に転院となった. 上部消化管内視鏡にて幽門部に嵌頓する結石を認め, また腹部単純CTおよび腹部超音波検査では胆嚢内に結石像を認め, 胆嚢と胃の境界は不明瞭であった. 以上より胆嚢胃瘻による幽門部での胆石の嵌頓と診断し, 開腹手術を施行した. 胆は肝十二指腸間膜および胃幽門部と強固に癒着しており, 幽門小彎前壁に瘻孔を形成し, 胃内には幽門部に嵌頓する径約4cmの結石を認めた. 胆摘, 瘻孔切除および胃壁欠損部の閉鎖を行った. なお術後の病理学的検索にて, 胆嚢頸部から体部にかけての粘液腺癌が認められ, 深達度は漿膜下層であった.
胆嚢胃瘻は, 内胆汁瘻に占める割合が約4%とされる比較的まれな疾患であり, さらに胆嚢癌を合併した症例は極めて少なく, 若干の文献的考察を加えて報告する.