日本消化器外科学会雑誌
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閉塞性大腸癌の検討
長谷川 久美杉原 健一榎本 雅之吉永 圭吾
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2000 年 33 巻 6 号 p. 709-715

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抄録

閉塞性大腸癌 (閉塞群: 46例) の予後不良である原因を検索し, その治療方針を検討した. 閉塞群は非閉塞性大腸癌 (対照群: 872例) に比較し遠隔転移が多く, 切除率が低く, 術後30日以内の死亡が多く認められた. 閉塞群の切除例 (閉塞・切除群36例) の臨床病理学的因子および予後を, 対照群の中から性別, 年齢, 部位, 深達度, 環周率をmatchingさせて抽出した非閉塞・切除群 (108例) と比較検討した. 閉塞・切除群の腫瘍径は非閉塞・切除群より有意に小さかったが, その他の臨床病理的因子に有意差はなく, 両群の生存率にも有意差を認めなかった. また, 閉塞・治癒切除群においても, 非閉塞・治癒切除群に比較し, 遜色ない生存率を得られた.
閉塞性大腸癌においても, 切除可能例にたいしては, 積極的な手術が必要と思われ.

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