日本消化器外科学会雑誌
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Lymphoid stromaを伴った食道非小細胞型未分化癌の1例
神吉 和重吉住 豊森崎 善久杉浦 芳章玉井 誠一相田 真介島 伸吾田中 勧
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1997 年 30 巻 3 号 p. 754-758

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抄録

Lymphoid stromaを伴った食道非小細胞未分化癌の1例を経験したので本邦報告4例と集計し, 考察を加え報告する. 症例は75歳の女性. 主訴は嚥下困難. 生検で未分化癌と診断され, 術前化学療法 (CDDP80mg/m2全身投与) 施行後, 根治術を施行した. 摘出標本では, 腫瘍は大部分が正常食道上皮に覆われた上皮下腫瘤型を示し, 生検時と同様に病理組織像はT-cell主体のリンパ球の著明な浸潤を伴い比較的大型の腫瘍細胞が増殖していた. 扁平上皮や腺への分化をほとんど認めず, 非小細胞型未分化癌と診断した. 病理学的進行度はa1n4Pl0M0のStage IVであった. 術後1年10か月に頸部リンパ節再発を認め, リンパ節郭清を施行した. 食道未分化癌は一般的に予後不良であるが, 著明なリンパ球浸潤を伴ったものは, 予後良好と報告されている. 本症例も初回手術から3年5か月を経過し健在で, 予後は比較的良好と考えられた.

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