1997 年 30 巻 11 号 p. 2206-2209
十二指腸乳頭部原発のso-called carcinosarcomaの1例を経験した. 症例は64歳の男性, 閉塞性黄疸にて発症した. PTCDチューブからの胆管造影では, 十二指腸乳頭部の完全閉塞と総胆管内腔突出型の陰影欠損像を認め, 十二指腸乳頭部癌の術前診断にて膵頭十二指腸切除術を施行した. 術後の病理組織学的検索では, so-called carcinosarcomaまたはspindle (squamous) cell carcinoma with adenocarcinomaと診断された. 治癒切除であったにもかかわらず, 術後第78病日に多発性肝転移のため死亡した. so-called carcinosarcomaの十二指腸乳頭部原発例は非常にまれであり報告した.