日本消化器外科学会雑誌
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イレウスをともなう大腸癌の臨床病理学的検討
神垣 隆島田 悦司裏川 公章
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1993 年 26 巻 1 号 p. 76-81

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抄録

切除しえた全周性大腸癌136例を明らかな閉塞症状を呈したA群 (大腸癌イレウス, 33例), 軽度の閉塞症状を有したB群 (74例), 閉塞症状を全く有しなかったC群 (29例) に分類し, A群の臨床病理学的特徴および手術成績について他の2群と比較検討した.A群においては腹膜転移度は高率であったが, 年齢, 性別, 肉眼型, 組織型, 肝およびリンパ節転移度, 脈管侵襲, 組織学的進行度, 切除率では3群間に有意な差はなかった.腫瘍径においてA群は他の2群にくらべ横径および横径/縦径比が有意に小さく (p<0.01), 横径方向の腫瘍の発育がイレウス発症に関与していることが示唆された.またA群では占居部位別発生頻度は結腸に高く, 直腸では低かったが, 左右結腸に差はなかった.切除例, 治癒切除例の5年生存率はA群と他の2群との間に差を認めず, イレウスをともなった大腸癌においても積極的な切除と郭清が必要と考えられた.

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