日本臨床細胞学会雑誌
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症例
2 型乳頭状腎細胞癌の 1 例
—CT ガイド下腎腫瘍生検時の針先洗浄細胞診を中心に—
舩越 真依石原 美佐井上 友佳里清水 理絵西田 稔毛利 衣子勝嶌 浩紀橋本 公夫
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2019 年 58 巻 3 号 p. 120-125

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抄録

背景 : 乳頭状腎細胞癌は淡明細胞型腎細胞癌に次いで頻度の高い組織型であるが, 細胞学的な報告例は少ない. 今回この 1 例を経験したので報告する.

症例 : 80 歳代, 男性. 腹部超音波検査で右腎上極に約 60 mmの腫瘤を認めた. 造影 CT で腎血管筋脂肪腫や後腎性腺腫が疑われ, MRI では乳頭状腎細胞癌も鑑別に挙げられた. 組織診断目的のため CT ガイド下生検が施行され, 針先洗浄液が細胞診検体として提出された.

洗浄細胞診では血性背景に, ヘモジデリン貪食細胞とともに多くの腫瘍細胞が散在性や乳頭状集塊で出現していた. 細胞は高円柱状で, 細胞質はライトグリーン好性の顆粒状, 核は円形でクロマチンは微細顆粒状, 一個の小型核小体を認めた. 乳頭状集塊の一部の間質には泡沫細胞がみられた. 腫瘍細胞内にもヘモジデリン沈着がみられた. 生検および手術材料の組織診では 2 型乳頭状腎細胞癌と診断された.

結論 : 背景のヘモジデリン貪食細胞, ライトグリーン好性かつ顆粒状の細胞質をもつ腫瘍細胞の乳頭状集塊や, 集塊内部にみられる泡沫細胞の集簇, 腫瘍細胞の細胞質内ヘモジデリン沈着は 2 型乳頭状腎細胞癌を示唆する細胞所見である.

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© 2019 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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