日本臨床細胞学会雑誌
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原著
甲状腺病変における細胞形態学的計測による検討
丸田 淳子橋本 裕信野口 仁志常岡 英弘高橋 睦夫
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2014 年 53 巻 3 号 p. 182-189

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抄録

目的 : 細胞像の客観的評価として細胞形態学的計測を行い, おのおのの計測値の重要性を検討し組織型を推定するロジスティック回帰式を求めた.
方法 : 乳頭癌 28 例, 濾胞癌 19 例, 濾胞腺腫 23 例, 腺腫様甲状腺腫 29 例を対象とした. 核面積, 核面積 SD, 周囲長, 縦横比, 重畳性, 重積性を計測し病理組織診断と比較した. 変数減少法を用いて組織型推定に重要な計測項目を選択した. 計測項目の中央値と四分位点の値を用いて確率を試算した.
成績 : 悪性病変の計測値は全項目にて良性病変のものより有意に大きかった. 悪性病変では核の 70.0%以上が重畳性を示し, 87.4%以上が重積性を示した. 乳頭癌は核面積, 核面積 SD, 周囲長, 縦横比, 重畳性の計測値が最も大きく, 濾胞癌は重積性の計測値が最も大きい値であった. 組織型を推定する回帰式にて重要な項目は, 乳頭癌と腺腫様甲状腺腫では核面積, 縦横比, 重畳性であり, 濾胞癌と濾胞腺腫では重積性であった. 四分位点における推定確率は, 乳頭癌では 93%, 腺腫様甲状腺腫では 98%, 濾胞癌では 65%, 濾胞腺腫では 45%であった.
結論 : 乳頭癌と腺腫様甲状腺腫では高い推定確率が得られるロジスティック回帰式を変数減少法によって求めた.

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