日本臨床細胞学会雑誌
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症例
胸水細胞診にて横紋筋肉腫成分を認めた子宮体部原発異所性癌肉腫の 1 例
木下 勇一鷹巣 晃昌圦 貴司鈴木 麻友香南雲 サチ子螺良 愛郎四方 伸明
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2013 年 52 巻 6 号 p. 579-582

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抄録

背景 : 子宮体部原発異所性癌肉腫は比較的まれであり, 胸水中に同腫瘍細胞をみることも極めてまれである. 今回, われわれは手術 6 ヵ月後の胸水細胞診にて横紋筋肉腫成分を認めた子宮体部原発異所性癌肉腫の 1 例を経験したので報告する.
症例 : 69 歳, 女性. 1 経妊, 1 経産. 不整性器出血を自覚し来院, 子宮体部内膜擦過細胞診でクロマチンの増量と核形不整を呈する異型細胞を多数認めた. 核密度の高い配列不整な集塊として, あるいは腫大核小体を有する核偏在性の異型細胞を孤立散在性に認めた. その後, 生検および手術が施行され, 横紋筋肉腫を肉腫成分とする子宮体部原発異所性癌肉腫と診断された. 術後約 6 ヵ月後に貯留した胸水からは子宮内膜擦過細胞診標本に出現していた核偏在性の異型細胞のみが観察された. 細胞診標本と同時に作製したセルブロックで実施した免疫組織化学的染色では myoD1 などの筋原性マーカーが陽性となり, 横紋筋肉腫成分の転移と診断された.
結論 : 本例を通じて細胞診断上, 臨床情報の十分な把握とセルブロック作製の重要性が再認識された.

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© 2013 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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