日本臨床細胞学会雑誌
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原著
ポリエチレン製使い捨てピペットと袋オブラートを利用した簡単なセルブロック作製法 (ピペット・オブラート法)
西原 和代松井 美智代下山 玲子佐々木 志保藤中 浩樹島津 宏樹伏見 博彰
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2012 年 51 巻 5 号 p. 329-332

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抄録

目的 : 安価で容易であり日常業務の流れの中に無理なく組み込める, 質の高いセルブロック標本作製法としてポリエチレン製使い捨てピペットと袋オブラートを利用する方法を考案し検討した.
方法 : ポリエチレン製使い捨てピペットと袋オブラートを利用して作製したセルブロック標本 (ピペット・オブラート法) 194 例を, 従来のセルブロック作製法 (アルギン酸を用いる方法) 23 例と比較し検討した.
成績 : 本法は切断したピペット帽子部を容器として利用し細胞を集め, それをオブラートに包んで処理する方法であり, 以下の観点から従来法より優れていた. 1) 作業工程が少なく, より簡便であった, 2) 細胞ゲル化の操作がなく, ゲル化用の試薬作製が不要となった, 3) 従来法では問題となったゲル化内での細胞の分散がなく, 目的とする細胞が数多く標本中に集められ, 微量検体でも作製が可能であった, 4) 標本中にオブラートが残らず, HE 染色や免疫染色, 粘液染色の結果は良好であり, 従来法でみられた共染はなかった.
結論 : 本法は専用の試薬や特別な器具の準備を必要とせず, 作製時間や手間が少なく安価であり安全かつ容易に日常的にセルブロック作製が可能であると考えられた.

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© 2012 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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