日本臨床細胞学会雑誌
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腹腔洗浄液に悪性細胞を認めた膀胱原発のurothelial carcinoma, micropapillary variantの1例
磯崎 岳夫植草 正平林 寧子海老原 善郎
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2005 年 44 巻 6 号 p. 381-384

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抄録

背景:膀胱の尿路上皮癌 (urothelial carcinoma) のきわめてまれな亜型であるmicropapillary variantの腹腔洗浄細胞診での細胞像を経験したので報告した.
症例:患者は78歳の男性で, 他院にて原発不明の転移性膀胱腺癌と診断された. その後, 当院にて経尿道的膀胱腫瘍切除 (TURBT) 材料から組織学的に膀胱原発のurothelial carcinoma, micropapillry variant (以下UC・MPV) と診断された. 胃・空腸吻合術時に行われた腹腔洗浄細胞診では結合性の強い乳頭状細胞集塊が多数認められ, 集塊を構成する細胞の多くは核クロマチン増量を示す腫瘍細胞であった. 細胞質の泡沫状変化や空胞化を認める細胞からなる集塊もみられた.このような細胞には核偏在が目立ち, N/C比は低い傾向にあった.また, 一部の腫瘍細胞の細胞質内に粘液様物質が観察され, 免疫組織化学的にCEAの発現を認めた.
結論:小乳頭状細胞集塊の出現, 細胞質の空胞化がUC・MPVの細胞学的特徴となりうる可能性が示唆された.

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