日本臨床細胞学会雑誌
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術中迅速診断に細胞診および免疫染色が有用であった膠芽腫 (肥胖細胞型) の1例
片山 博徳前田 昭太郎細根 勝原 博山王 直子志村 俊郎横山 宗伯内藤 善哉
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2004 年 43 巻 5 号 p. 331-334

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抄録

背景:脳腫瘍の迅速組織診断では, 凍結によるartifactのために診断に難渋することが少なくなく, 細胞診の併用が有用である.今回, 術中迅速診断に細胞診と迅速免疫染色が有用であった膠芽腫 (肥絆細胞型) の1例を経験したので報告する.
症例:50歳, 女性, 左側頭部に強い頭痛を認めたがそのまま放置した.同部位に頭痛が持続し, 1ヵ月後に当院脳神経外科を受診した.MRIにて左前頭葉に3×2cmの腫瘍性病変を認め, 腫瘍摘出術が施行された。術中圧挫細胞診では円形-類円形のライト緑好性の細胞質および偏在性の異型核からなるN/C比大の異型細胞が主体の腫瘍であった.
組織所見でも凍結によるartifactがみられたが, 基本的に細胞診と同様の腫瘍細胞がみられた.第一に膠芽腫 (肥胖細胞型) が考えられたが転移性腺癌, 悪性リンパ腫との鑑別のために迅速免疫染色 (所用時間約10分) を行った.GFAP (+), keratin (-), LCA (-) であり膠芽腫 (肥胖細胞型) と診断した.
結論:膠芽腫 (肥胖細胞型) の術中迅速診断に圧挫細胞診および免疫染色が有用であった.

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