日本臨床細胞学会雑誌
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Chlamydia pmumoniae感染細胞の形態学的研究
尾野 緑椎名 義雄金本 淳菰田 照子坂内 久一西山 文朗
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1997 年 36 巻 5 号 p. 498-505

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抄録

Human line (HL) 細胞を用いChlamydia pneumoniae (C. pneumoniae) 感染細胞に出現する封入体の形態学的観察を行った.
その結果, 封入体の染色性はPapanicolaou染色ではヘマトキシリン好性, Giemsa染色では好塩基性を示した.封入体は感染初期で核に隣接した一側に局在し, 感染力価の高い菌液を使用した場合は同部位に複数個観察された. さらに複数個の封入体は直径約6μmまでは融合することなしに増大し, その後融合して1つの大型封入体になった. しかし, それら封入体は部分的に核を圧排するものの, 核を完全に圧排して印環型を呈するものはなかった. 封入体周囲に膜様構造はみられず, 細胞質と封入体の間に不染間隙を認めた. 封入体の形は円形が主体であったが, 崩壊過程の所見として中心部に空洞化を示すものも観察された.
以上の所見より, Papanicolaou染色およびGiemsa染色において, C. pneumoniae感染による封入体の検出は可能であるが, 宿主細胞によってはその形態が異なる可能性がある点と封入体を形成する感染細胞の出現率が低い点を考慮する必要があるように思われた.

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