日本臨床細胞学会雑誌
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卵巣癌, 卵管癌における増淵式反復吸引法の有用性について
竹島 信宏手島 英雄南 敦子片瀬 功芳梅澤 聡清水 敬生藤本 郁野山内 一弘荷見 勝彦都竹 正文
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1994 年 33 巻 6 号 p. 1086-1091

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抄録

原発性卵巣癌, 卵管癌症例において, 増淵式反復吸引法を用いた子宮内膜細胞診の有用性について検討し, 以下の結果を得た.
卵巣癌154例, 卵管癌20例における, 子宮内膜細胞診の陽性率はそれぞれ13.6%および55.0%であった. 卵巣癌症例では, 漿液性腺癌で内膜細胞診の陽性率が高く (18.9%), 粘液性嚢胞腺癌で陽性率は最も低かった (4.3%). また, 臨床病期の進行に伴う内膜細胞診陽性率の増加を認めた.
卵巣癌子宮内膜転移陰性症例の検討では, 腹水細胞診が陽性であった場合の子宮内膜吸引細胞診の陽性率は22.5%, また内膜吸引細胞診が陽性であった場合の腹水細胞診陽性率は75.0%であった.
卵巣癌症例では, 腹水量の増加に伴う腹水細胞診陽性率の上昇を認めたが, 内膜細胞診陽性率はかならずしも腹水量とは相関しなかった.
細胞所見では, 孤立性あるいは小細胞集塊での悪性細胞の出現, 腫瘍性背景の欠如が特徴と思われた.
以上より, 増淵式反復内膜吸引法は, 卵管癌で特に陽性率が高く, 特徴ある細胞所見より, 卵巣癌, 卵管癌のスクリーニング法として有用と思われた.

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