日本臨床細胞学会雑誌
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Gestrinone投与下の膣細胞像と血清ホルモン値
その経時的変化と相互の関連性について
福田 良夫田村 昭蔵和泉 滋根津 義広野澤 志朗
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1992 年 31 巻 3 号 p. 476-484

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抄録

子宮内膜症患者12名にgestrinone (G) 5または10mg/週, 4~6ヵ月間投与し, 投与前卵胞期に, 投与中は2ないし4週ごとに, また投与後卵胞期にそれぞれ膣壁より検体を採取した.Pap標本により成熟指数 (MI) を観察し, 同時に採血してRIA法によりestradiol (E2), progesterone (P) およびtestosterone (T) 値を測定し, MIとホルモン値の推移およびそれらの相互の関係を検討した.
G投与中は中層細胞が主体を成すため, これを細分して労基底細胞に近い小型中層細胞と, 表層細胞に近い大型中層細胞に分け, MIを労基底/小型中層一大型中層/表層の順で示して検討した.成績, 1) MIの平均値は投与前で0/15-40/45, 投与中の全期間で0/52-38/10, 投与後3ヵ月で0/22-41/37であった.労基底細胞は投与20週以後わずかに増加, 小型中層細胞は2週より増加 (p<0.05), 大型中層細胞は4週まで増加し以後減少, 表層細胞は2週より減少 (p<0.05) した.2) ホルモンの平均値は投与前でE284P9/ml, P0.5ng/ml, T0.5ng/ml, 投与中の全期間でE231Pg/ml, P0.5ng/ml, T0.3ng/ml, 投与後3ヵ月でE259pg/ml, P0.6ng/ml, T0.4ng/mlであった.G投与によりE2は投与2週以後低下 (p<0.05), Pは初期より卵胞期レベル, Tは2週より低値 (p<0.05) を続けた.3) MIとホルモン値との関係では, 小型中層細胞指数とE2, T値の問に負の, また表層細胞指数とE2, T値との間に正の相関がみられた (p<0.001).

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