日本臨床細胞学会雑誌
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卵巣漿液性嚢胞腺癌の細胞診
藤本 郁野韓 希平福田 耕一山内 一弘増淵 一正坂本 穆彦
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1986 年 25 巻 1 号 p. 94-100

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抄録

112例の漿液性嚢胞腺癌の細胞診につき検討し以下の結果を得た.
1) 細胞診陽性率は, 後腟円蓋プールスメア, 子宮腟部および頸管内擦過スメアは15.2%, 子宮腔内吸引スメアは20.4%, 腹水細胞診は67.9%の陽性率であった.
2) 陽性率の最も高かった腹水細胞診について検討した結果, 陽性率は臨床進行期に伴って上昇した.
3) 腹水細胞診陽性率は腹水量とも密接な関係を有し, 腹水量30cc未満では51.4%, 500cc以上で92.0%の陽性率であった.
4) 腹水の性状と陽性率とは関連性が少なかった.
5) 腫瘍表面の性状と各種細胞診陽性率の関係は, 表面に癌増殖を認めるか, あるいは被膜破綻のみられるものの陽性率は, 癌増殖を認めないかあるいは被膜破綻のないものに比べ, 有意に高かった.
6) 組織分化度と各種細胞診陽性率との間には一定の関係が認められなかった.

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