日本臨床細胞学会雑誌
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子宮腔内吸引細胞診による卵巣癌の診断
加藤 良樹上坊 敏子蔵本 博行
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1983 年 22 巻 4 号 p. 696-702

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抄録

原発性卵巣癌症例57例の子宮腔内吸引細胞診について検討し以下の結果を得た.
1) 施行率は57例中47例, 82.5%であった.
2) 陽性率は47例中13例, 27.7%であった.8例は子宮腔内吸引細胞診のみ陽性で, 他の5例は膣部・頸管細胞診でも陽性であった.
3) 腹水細胞診陽性17例中7例, 41.2%は, 子宮腔内吸引法でも陽性であった.逆に吸引法陽性13例中腹水陽性は11例である.
4) 吸引細胞診に現れやすい組織型は漿液性および低分化腺癌であった.
5) 腹水中の細胞との比較では, 核径で子宮腔内吸引細胞診の方が大きい傾向を示した.
6) 子宮体癌症例との比較では, 背景がきれいで, 出血や壊死物質の出現頻度が低く, その核径は大なる傾向を示した.
本法が卵巣癌の有力な形態診断法であり, その診断に当たってまず行ってみるべきことを指摘したい.

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