日本臨床細胞学会雑誌
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子宮体癌の初代培養成績と樹立株細胞の諸性格
森澤 孝行
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1987 年 26 巻 3 号 p. 433-442

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抄録

子宮体癌の多様性とin vitro培養系での諸性格を検討のため, 多数例を培養に供した.
1) 30例のうち, 17例 (56.7%) に上皮性細胞の増殖がみられ, うち3例 (10.0%) が株化した.
2) 細胞の増殖はjig-saw puzzleと敷石状形態の混在で, 継代とともに敷石状形態の細胞が優位を占める.またadenoacanthoma (HEC-88nu) では重積増殖とともにドーム状のhemicystを形成するが, 中・低分化 (HEC-59,-108) の細胞は腺腔様構造のみである.
3) 3株細胞はいずれも異種移植可能で, 原腫瘍と類似の組織型の腫瘍を形成する.
4) 細胞の増殖速度は継代とともに速くなった.
5) 染色体構成は2倍体領域にピークがみられる (HEC-59,-108).また, ヌードマウスを経由した細胞の染色体構成は著しい異数性・高倍体傾向を示す (REC-88nu).
6) 各種progestogenの抗腫瘍効果は株細胞個々により異なり, またその黄体ホルモン作用と抗腫瘍作用は同一基盤上にない可能性が示唆される.

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