日本予防理学療法学会 学術大会プログラム・抄録集
Online ISSN : 2758-7983
第10回 日本予防理学療法学会学術大会
セッションID: YOS-12-1
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予防OS12
肺高血圧症と予防理学療法
飛田 和基
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抄録

肺高血圧症 (Pulmonary hypertension; PH)は、平均肺動脈圧が 上昇し労作時の息切れを主症状として運動耐容能低下や Quality of Life (QOL)の低下を招く難病である。かつては生命予後が悪く、病態悪化のリスクがあるため安静が推奨されてきた。しかし、治療法の進歩により生命予後が延長し、さらには専門施設におけるモニタリング下での運動療法もガイドラインで推奨されるようになっている。PH患者における運動療法では、心疾患患者同様にレジスタンストレーニングや有酸素運動、呼吸筋トレーニングなどが行われている。このような運動療法により、運動耐容能向上やQOL向上などの効果が示されている。一方で、運動療法が有効な患者や運動強度、運動療法の長期的な効果などは明らかではなく、特に治療開始早期の病態が安定していない段階での積極的な運動療法は推奨されない。PH患者の急性期においては病態悪化のリスクを鑑みて安静が重視されることもある。しかし、過剰な安静は廃用症候群進行のリスクもあるため、治療開始早期においては病態と安静に伴う廃用症候群進行のリスクを天秤にかけながら理学療法介入を行うことが求められる。PH患者において廃用症候群による運動耐容能低下は生命予後へ影響する可能性も否定できず、急性期からの予防的な理学療法介入は重要である。PH患者の運動耐容能に対しては、病態のみならず下肢筋力を始めとする末梢機能が関与することも示されている。そのため、PH患者においては病態の不安定な急性期の段階から、病態を把握した上で筋力トレーニングを行うことや活動量を可能な限り確保することが求められる。本演題においては、PH患者に対する急性期からの予防的な理学療法介入の可能性を示したい。

【倫理的配慮】

本演題で紹介する研究については、杏林大学医学部倫理委員会の承認を得て実施した。

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