臨床神経学
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症例報告
片側延髄・頸髄移行部梗塞により著明な顔面痛と交叉性片麻痺を呈した1例
今野 正裕神林 隆道濵田 雄一山本 淳平古川 裕一畑中 裕己園生 雅弘
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2020 年 60 巻 10 号 p. 693-698

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抄録

症例は66歳女性.X日,急に左頬部と口唇周囲にしびれ感を自覚.その後左顔面全体にもしびれ感や痛みが拡大.X + 3日には歩行困難も自覚し前医受診.頭部MRIにて左延髄下部から上位頸髄に拡散強調像やFLAIRで高信号病変を認め,精査目的に入院.左眼瞼裂狭小,左顔面の温度覚低下,顔面痛,左優位の両上肢および右下肢筋力低下などの所見を認めた.MRI所見や各種検査結果から梗塞による障害と考えられた.上下肢で筋力低下の程度が左右逆転しているhemiplegia cruciataを呈する症例は稀ではあるものの,病変局在の同定や診断に難渋する可能性があり,錐体交叉近傍の病変の可能性を念頭に置く必要がある.

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© 2020 日本神経学会
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