臨床神経学
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<Symposium 22> 自己免疫性脳炎の最近の知見
自己免疫性脳炎―最近の知見―抗体の病態へのかかわり
田中 惠子
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2014 年 54 巻 12 号 p. 1107-1109

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抄録

抗NMDAR脳炎は,若年女性に精神症状で初発する特徴的な臨床像を呈するが,様々な臨床亜型が報告され,その臨床像は拡大を見せている.NMDARは,グルタミン酸のイオンチャネル型受容体として,シナプス後膜表面にGluN1とGluN2の4量体で形成される受容体で,抗体は細胞表面構造に結合する.本抗体を培養海馬細胞に作用させると,NMDARのendocytosisを生じ,NMDAR関連膜電位変化を生じる.筆者らは,海馬スライスをもちいて,本症由来の抗体が記憶形成のモデルである長期増強誘導を抑制し,マウス脳内への長期持続投与で認知機能傷害を再現し,本抗体が症状に深くかかわることが明らかにした.

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© 2014 日本神経学会
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