臨床神経学
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症例報告
緩徐な進行で長期経過を呈した進行性核上性麻痺の1剖検例
岩崎 靖森 恵子伊藤 益美三室 マヤ吉田 眞理
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2012 年 52 巻 3 号 p. 156-160

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抄録

症例は死亡時79歳の女性である.55歳時に歩行障害で発症し,筋強剛や静止時振戦をみとめ初期にはパーキンソン病と診断された.きわめて緩徐な進行を呈し,易転倒性がめだつようになったのは発症後約17年,胃瘻造設されたのは発症後約22年,全経過は約24年だった.神経病理学的に淡蒼球,視床下核,黒質,脳幹被蓋の高度変性と,神経原線維変化およびtuft-shaped astrocyteなどの嗜銀性構造物を広範囲にみとめた.長期経過に比して大脳皮質病変やタウの沈着は比較的軽く,従来報告されている進行性核上性麻痺のいずれのサブタイプにも分類されない臨床病理像を呈していると思われた.

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© 2012 日本神経学会
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